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設計者のための免震入門(7) ダンパーの役割と減衰特性
 
 
履歴型ダンパーの設計
 ダンパーの設計条件は次式で表せる。
(1)
ここで、WP :ダンパーの消費エネルギー
E:地震による入力エネルギー
履歴型ダンパーの復元力特性が完全弾塑性型でモデル化できる場合、ダンパーの累積塑性変形量 δp は図3に示すように各塑性変形量の累積( δp = Σ δpi )として表せる。ダンパーの消費エネルギーは次式で求められる。
(2)
図3:ダンパーの履歴モデル


ここで、 :ダンパーの降伏荷重
αs :ダンパーの降伏せん断力係数
M:建物総質量
g:重力加速度
一方、地震による入力エネルギーEはエネルギーの等価速度 VE を用いて と表わせる。これらより、ダンパーに要求される塑性変形能力は
(3)
となる。
 図4には(3)式に基づいてダンパーの累積塑性変形量と入力エネルギーの速度換算値 の関係を示す。 は設計で通常用いられるレベルとして0.03〜0.05を設定した。 が150cm/sであれば、 =300〜400cm程度であり、最大変形30cmでの繰返し変形であれば2〜3サイクルとなる。 =300cm/sでは =1000〜1500cm程度と非常に大きくなる。最大変形を40cmと想定すれば、1サイクルで40cm×4=160cmとなるので、ダンパーへの要求性能としては8〜9サイクル以上の繰返し変形能力となる。
図4:累積塑性変形量と入力エネルギーの関係


 また、設計方法によっては弾塑性型ダンパーの形状の異なる復元力特性を混用したり、粘性型ダンパーを併用することで、応答特性の改善を計ることも試みられている。このような場合、それぞれのダンパーの減衰特性や各種依存性を正しく評価し、解析に反映させることが不可欠である。
 フロアレスポンスを問題とする場合には、ダンパーの復元力特性のモデル化が重要であり、実際の履歴形状とエネルギー吸収量を忠実に反映したモデル化としなければならない。特にダンパーの初期剛性の総和に対する上部構造の水平剛性の比率が小さくなると、上部構造の応答に高次振動の影響が表れ加速度応答が大きくなる。ただし、ここで注意が必要となるのが、免震部材の復元力特性のモデル化である。復元力モデルとして図3のようなバイリニア型(初期剛性と降伏後剛性の2つの剛性で表現)を用いることが多いが、図1や図2で示したように初期剛性から降伏後剛性に移行する範囲において実際は急激に剛性が変化することはない。高次振動の表れる主な原因は急激な剛性変化であり、モデル化や応答結果の評価に当たっては注意が必要である。ダンパーのモデル化の影響については文献6)で検討例が示されている。ダンパーの配置は免震層の偏心を小さくし、捩れ剛性を高めるように配置すべきである。





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