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(5)式 |
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(5)式は、上部構造が剛体で積層ゴムの面圧も一様と考えた簡単なモデルからの結果であり、上下動地震による影響も含まれていない。しかし、積層ゴムに多少の引張変形が許容(引張側への変形能力は高い)できることを考えれば、上下動入力に対しても十分対応可能であると考える。(5)式より、ベースシア係数を小さくすることで建物高さを大きくでき、免震構造の適用範囲を拡大できることがわかる。ベースシア係数を小さくするためには免震周期をできるだけ長くする必要がある。免震層のベースシア係数 α1 が0.1程度であれば、 Β / Η は6程度まで、0.15程度でも Β / Η は4倍以上は可能であると言える。 |
超高層建築では、上部構造を剛体と考えるのは難しくなる。上部構造の応答を評価する場合には、上部構造の特性を反映した振動応答解析などで建物の応答を評価する必要がある。しかし、耐震壁などを効果的に配置することで、上部構造の剛性を高め、免震性能の向上をはかることができる。 |
超高層建築では、地震時転倒モーメントにより外周部の積層ゴムに引張力が作用する可能性が高くなる。積層ゴムの引張側の特性は、引張抵抗力は小さいものの、引張変形能力は非常に高い。現在では積層ゴムにある程度の引張変形を許容するような設計も行われている。免震性能を高めることで、転倒モーメントを小さくし、積層ゴムに作用する引張力を小さくできる。その時、反対側の積層ゴムには高い付加軸力が作用することになる。大きな付加軸力に対しても大変形時の変形性能と荷重支持能力を確保できるような積層ゴムの設計が求められる。 |
現在では、街区全体を巨大な免震人工地盤にし、その上に多様な建築物を建設することも行われている。今後も免震技術を適切に適用することによりこれまでになかった新しい建築が生まれてくることが期待される。 |
参考文献
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1) |
多田英之監修「4秒免震への道 −免震構造設計マニュアル−」理工図書、1997 |
2) |
日本建築学会「免震構造設計指針」2001 |
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