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設計者のための免震入門(4) 積層ゴムの構造と特徴
 
 
部材の性能検査の考え方


 現況では、部材認定制度以前の製品検査方法を継承して行っている事が多い。具体的には、免震部材への要求性能(鉛直支持性能、水平変形性能、復元性能、減衰性能)については、設計図および仕様書に示された性能を個々の免震部材がそれぞれの要求性能を満足しているかどうか、設計者または監理者が製品検査時に直接確認している。また、耐久性能、耐候性能については、製品検査時に時間の都合上試験で確認することができないので、メーカーが所有する過去に行われた実験データを参考にその性能を評価している。さらに、製品検査時には試験器具の能力上の制約や経済性などにより、想定される最大変形または最大圧縮応力(最大引張応力)、振動速度に対して製品検査は行うことが難しい場合が多い。しかし、想定される大地震に免震部材に生じる鉛直圧縮応力、水平変形に対して免震部材の健全性の確認を製品検査時に直接行うことが、免震層に要求される過酷な性能を保証するには望ましいと考える。
 また、免震構造では安定した大変形性能を前提とした詳細解析をもとに設計されているため、その前提条件となる地震力レベルの不確定さなどに対しても安全性を確保する必要がある。そのための安全余裕度の確認として、想定外の大地震(例えば免震層に設定している躯体とのクリアランス程度の大変形が生じる様な場合)に対しても、メーカーの製品実験データに示された性能が本当に発揮できるのかどうか、また想定外の引張応力が生じた場合に、免震部材はどこまで耐えられるのかなどについても、確認をする必要があると考えられる。
 ただし、これらの性能確認については個々の建物建設時に行う製品検査ごとに行うのでは、経済的な負担が大きすぎるため、現状ではプロジェクトごとにでも確認できないのが現状のようである。
 さらに法律の改正により、免震部材は国土交通省の認定を受けた材料である事が定められたことで、メーカーが認定時の値を保証する事が前提となるため、今後は直接監理者が製品検査で書類及び抜き取り検査等を行うかどうかは不透明になっていくと考えられる。ところが、現状の免震部材の認定制度では、材料が認定を受けた時と同じ物であるかどうかの継続的な確認が不十分であると考える。
 そこで、公的な機関により、国土交通省で認定した免震材料の品質管理の維持を目的として、継続的に生産されている認定された免震材料について、継続的に材料の品質審査を定期的に行い、公表していく事も必要といった意見もある。しかし、免震部材の品質を確保するためには、まずもって設計者の関与が不可欠である。





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