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設計者のための免震入門(4) 積層ゴムの構造と特徴
 
 
 表2には例として鉛プラグ入り積層ゴム支承の審査内容の概要を示す。免震部材の認定は荷重支持性能、変形性能、エネルギー吸収性能などが実験データに基づいて確認され基準値が決定される。構造計算にはこれらの基準値を使用するにしても、その数値がどういった根拠で決定されたのか、適用条件はどの範囲にあるのかなどについて検討することが肝要である。技術が一般化されれば、効率的な設計ができるかもしれないが、一般化された技術の適用範囲を常に意識しておく必要がある。
 全ての基準値は純粋に実験データに基づいているわけではなく、何らかの判断が加えられている。その意味で認定では免震部材の設計を行っていると考えられるが、設計責任は曖昧であ。そもそもなぜ「材料認定」ということが免震部材に適用されねばならなかったのか? それは、改正建築基準法で「実験による検証」という条文が削除され実験で性能を確認することが許されなくなったこと、現状の建築確認制度の中では建築主事が判断できるように免震部材をカタログ化しておく必要があったためであろうか、あるいは行政は免震部材の性能をカタログ化しないと設計者は免震の設計ができないだろうと考えたのであろうか。そうだとすれば設計者の能力も低く見られたものである。


表2:鉛プラグ入り積層ゴム支承の審査内容の概要(例)
主項目 詳細項目 審査質疑事項
製品の形状、
各部寸法、
材質
・製造個数と形状タイプの分布
・品質管理基準:鋼材規格、加工精度
・ゴムの配合、ゴムの物理性能規格
・形状(D,S1,S2)・ゴム種別(G値)による製品リストの作成について
限界ひずみ
・実機,縮小モデルの座屈
・破壊試験結果
・実機,縮小モデルの大変形試験結果
・基準面圧と限界ひずみの規定値
・形状タイプと試験結果の分布について
・圧縮せん断限界性能式と試験結果の関係について
圧縮限界強度 ・圧縮限界強度設定式、または性能曲線 ・試験結果の有無について(一般にせん断ひずみ0%の圧縮限界強度試験結果は僅かである。)
引張限界強度
・縮小モデルの仕様と降伏・破断試験結果
・引張限界強度の規定値
・実機と縮小モデルとの降伏・破断試験値の相違について
・ゴムの種類(G)の相違と降伏・破断試験値の変化について
基準面圧・ひずみ ・試験データと試験面圧とひずみの度数分布
・基準面圧・ひずみの規定値
・基準面圧・ひずみと設計値の関係について(設計適応評価範囲について)
鉛直剛性 ・鉛直剛性式とその定数の規格値
・鉛直剛性試験結果の統計的分布
・製品性能のばらつき
・形状タイプと試験結果の分布に関して
・統計的個数と信頼性について
水平性能
・1次剛性、2次剛性
・切片荷重(降伏特性値)
・等価剛性
・等価粘性定数
・水平剛性、切片荷重、等価剛性、及び等価粘性定数の各算定式とその定数の規格値
・水平剛性試験結果の統計的分布
・製品性能のばらつき
・形状タイプと試験結果の分布に関して
・統計的個数と信頼性について
製造ばらつき ・各特性値のばらつき統計的データ
・各特性値のばらつきの規定値
・測定方法とその誤差について
・ばらつきの要因について
経年変化率 ・縮小モデルの仕様と試験結果(加熱劣化促進試験)
・各特性値の経年変化率の規定値
・試験方法とその信頼性について
温度依存性

・縮小モデルの仕様と試験結果(加熱試験)
・各特性値の温度による変化率の規定値
・試験方法および内部温度と表面温度の関係について
ひずみ依存性 ・試験体の仕様と試験データ
・ゴムの種類・形状による分布データ
・特性値の規定値
・ひずみ依存の要因と影響要因について
クリープひずみ率 ・縮小モデルの仕様と試験結果
・特性値の規定値
・一般的な他社の結果との比較について
・試験方法と推定式について
防錆仕様 ・標準仕様(ポリウレタン、エポキシ、亜鉛めっき) ・塗装領域と耐久性について
製造管理・検査基準 ・試験システム、その限界性能
・材料の規格
・材料調達ルート(関連会社)
・製造フローと管理事項および管理体制
・受け入れ検査方法と判定基準
・製品
・性能検査方法と判定基準
・出荷検査と判定基準
・管理責任者と組織体制について
・瑕疵に対する対策と処理方法について





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