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設計者のための免震入門(8) 免震層の設計
 
 
設計面圧σdsgn
 積層ゴムの設計軸力を考える場合、常時荷重と地震時転倒モーメントなどによる付加軸力を考慮しなければならない。過去の設計例では常時面圧を50〜100kg/cm2の範囲に設定するケースが多かった。現在では、天然ゴム系積層ゴムの限界耐力に関する実験研究や高い圧縮面圧のもとでのせん断変形試験を通して、積層ゴムの形状とゴム材質を適切に選択すれば、より高い圧縮応力度に対しても十分な荷重支持能力と変形性能を確保できることが明らかにされてきており、常時面圧として100〜200kg/cm2の範囲での使用が可能となってきている。
 水平剛性の面圧依存性は十分な精度で次式により近似できる。ただし、積層ゴムの面圧依存性(面圧が高くなった時に性能がどこまで維持されているか)については実験などで十分に検証を行うことが重要である。

(2)

ここで、 KH0 :面圧が0の時の水平剛性、σcr :座屈応力度
 (2)式の関係を図4に示す。図中には理論式と(2)式による近似式が示されているが、両者は良い対応を示す。面圧0の時に対して水平剛性の低下を10%以内とするためには、積層ゴムの面圧はσcr / 3 程度以下とすることが必要である。また、地震時には積層ゴムに転倒モーメントや上下動などによる付加軸力が作用する。積層ゴムには軸力変動による最大面圧下でも安定した変形能力を発揮することが求められる。このためには、積層ゴムの最大面圧に制限を設ける必要があろう。この制限は積層ゴムに求められる水平変形能力と大きな関連を持っているため一概には決められないが、σcr / 2 程度が一つの目安になるものと考える。
図4
図4
 積層ゴムのせん断変形時の耐荷機構として、単純に有効支持部分だけで圧縮荷重を支持していると仮定すれば、圧縮荷重を有効支持部分の面積 Ae で除した応力度が座屈応力度に達するときが、積層ゴムの安定限界変形であると考えることができる。この様な仮定に基づけば、水平変形量と面圧の関係が図5の点線のように求められる。同図より、面圧が大きくなるに従い、安定限界変形量が直線的に低下している。実際には、有効支持部分以外の効果やゴム材料のひずみ硬化などにより、図中の点線以上の変形能力は有していると思われる。図中には積層ゴムの破断試験の結果の一例がプロットされており、破断変位は安定限界変形よりも大きい。しかし、どの程度の余裕を有しているかは、積層ゴムの形状と軸力の大きさに依存する。ここでは安定限界変形の下限値として図中の実線を提案する。安定限界変形 δcr の下限値は次式で求められる。

(3)

ここで、D:積層ゴムの直径





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