面圧とゴム層の最大圧力の関係はゴム弾性理論より求められる。ゴムシートが円形であれば ξ =2.0、矩形断面で奥行き方向にひずみが生じない(平面ひずみ状態)とすれば ξ =1.5となる。破断時には積層ゴムは平面ひずみ状態に近い状態にあると考えられ、 ξ =1.5とおくことができる。本試験体の中間鋼板は冷間圧延鋼板で、3.2mm厚である。中間鋼板の破断開始点と思われる面圧1200kg/cm2を(1)式に代入すれば、 σP は3.9t/cm2となる。中間鋼板の材料試験による引張強さは3.48t/cm2である。この値は3.9t/cm2に比べ約10%小さいが、ほぼ(1)式により積層ゴムの限界荷重の下限値を推定可能であると考えられる。
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表1:天然ゴム系積層ゴムの圧縮破断試験結果
出典 |
文献3) |
文献2) |
試験体名 |
Bearing A |
Full-scale
(B1) |
1/2 Scale
(B2) |
1/4 Scale
(B3) |
500-7×14 |
直径(mm)* |
991(76) |
762(50) |
381(30)
|
191(30) |
500(20) |
tR (mm) |
10.1 |
12.7 |
6.4 |
3.2 |
7.0 |
tS (mm) |
3.048 |
2.667 |
1.524 |
0.762 |
3.2 |
tR / tS |
3.31
(1.0) |
4.76
(0.70)
|
4.20
(0.79)
|
4.20
(0.79)
|
2.18
(1.52)
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ゴム層数 |
39 |
15 |
15 |
15 |
14 |
S1 |
24.4 |
15 |
15 |
15 |
18 |
S2 |
2.5 |
4.0 |
4.0 |
4.0 |
5.1 |
剛性変化点
の面圧 |
65Mpa
(1.0)
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42Mpa
(0.65)
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45Mpa
(0.69)
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52Mpa
(0.80) |
118Mpa
(1.82) |
破断面圧 |
未破断 |
90Mpa |
89Mpa |
97Mpa |
147Mpa |
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*括弧内の数値は中心孔径
**括弧内の数値は、Bearing Aに対する比率
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文献3)では表1に示すような大口径積層ゴムと縮小試験体(B1〜B3試験体は相似モデル)を使用した米国における圧縮破壊試験の結果が報告されている。試験には5300ton [52MN]の圧縮試験機を使用している。1次形状係数は15と24、2次形状係数は4と2.5であり、我が国で使用されている積層ゴム形状とは大きく異なる。圧縮荷重と鉛直変形の関係は図2と同じように一定の荷重を越えると大きく剛性が低下している。表中には圧縮剛性が大きく変化する時の面圧と破断時面圧が示されている。中間鋼板厚 に対するゴム厚 の比率と剛性変化点の面圧を比較すれば、ほぼ同じ傾向を示していることが分かる。 |
このことは、(1)式に示したように単純載荷による限界耐力はほぼ に比例していることを裏付けている。せん断変形時の限界耐力に関する実験データは殆どないが、FEM解析からはほぼせん断変形量に逆比例(有効支持部の面積に比例)することが分かっている。なお、鉛プラグ型積層ゴムや高減衰ゴム系積層ゴムに対する圧縮破壊試験データはないため、今後試験の実施が望まれる。 |