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設計者のための免震入門(4) 積層ゴムの構造と特徴
 
 
補正係数 は、ゴム硬度あるいはせん断弾性率の関係で表1のように提案3)されている。ゴム材料が柔らかい程、 は1.0に近づくことがわかる。これらの係数は実験的に導入されたものであり、現在のゴム配合とは異なるゴム材料について求められたものである。表1のデータは昔のゴム材料に関するものであり、本来ならば現在のゴム材料に基づいて係数を求め直すことが必要である。本来ならば係数の適用範囲などについても再度検証をする必要があるものの、基礎的な実験検証はなされておらず、今後の課題である。
表1:せん断弾性率 と補正係数 の関係
G(kg/cm2)
[MPa]
3.0
[0.29]
3.7
[0.89]
4.5
[0.44]
5.4
[0.53]
6.4
[0.63]
8.1
[0.79]
10.6
[1.04]
κ 0.93 0.89 0.85 0.80 0.73 0.64

0.57

 ゴム材料は基本的に非圧縮性材料であり、体積変化が非常に少ない材料である。従って、ゴム材料のポアソン比 は0.5に非常に近い値をとる。ヤング率 とせん断弾性率 の関係より、
と表せ、これに γ=0.5を代入すれば、E0 = 3G となる。以下の計算式ではこの関係を用いている。せん断弾性率 G はゴム物性を表す基本的な材料定数といえる。
 ここで、ゴム製の立方体を1方向(x方向)に引っ張ることを考える。x方向には伸び(ひずみ度を )、それに直交するy, z方向は細くなる(ひずみ度をy, z方向ともに とする)。この時、変形前後で体積の変化がないとすれば、
となる。
ここで、ひずみが微少であるとすれば、 、 となり上式は、
となる。
ポアソン比 は、縦ひずみと横ひずみの比率として、
すなわちポアソン比は0.5となる。
 この様なゴムブロックを水中深くに沈めた場合、ゴムブロックには3軸方向から圧力が均等に加わり(静水圧という)、ゴムブロックの体積が減少する。この時の静水圧 と体積ひずみ(変形前後の体積の比率)e の関係を表すのが体積弾性率 Eb である。
ここで、
上式でポアソン比 が0.5となれば、体積弾性率は無限大となるが、実際のゴムの体積弾性率は10t/cm2〜20t/cm2程度であると言われている。ゴムのせん断弾性率が4kg/cm2であるとすれば、ポアソン比は0.4998〜0.4999となり(E0 = 3G を仮定)、0.5に非常に近い値をとることに変わりはない。
 現在使用されている積層ゴムのゴム1層厚は薄くなる傾向にあり、また高い圧縮荷重が作用する場合にはゴム材料の体積変化を無視することができなくなる。そこで、ゴム材料の圧縮性を考慮するために弾性係数を体積弾性率 Eb で次式のように補正することが行われている。
これは見かけの弾性係数と体積弾性率を直列バネと考えて、全体のバネ剛性を算出しているだけであり、簡便な手法として導入されたものである。本来であれば、ゴム層の圧縮性を考慮した計算式を求めることが必要であろう。





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