免震機構としてローラーボールやすべりを利用する発想は1900年以前から存在した。しかし、近代的な免震構造は積層ゴムの出現を待つ必要があった。積層ゴムを最初に使った建物はPestalozzi小学校(Skopje, Macedonia,1969)であった。ここで使用された積層ゴムは厚肉のゴム3層で、中間鋼板も利用されていないため、積層ゴム全体が大きく膨らんでいる。1970年代になれば、フランス、マルセイユのLambesc小学校などで近代的な仕様に基づく積層ゴムが利用されるようになる。1975年にはニュージーランドにおいて鉛プラグ入り積層ゴムが開発され、1981年には実際の建物に採用された。わが国では1986年に鉛プラグ入り積層ゴムを使用した建物が最初の評定を受けている。また、1982年にはMRPRAによって高減衰ゴム系積層ゴムが開発され、1985年にアメリカの最初の免震建物(裁判所)に採用されている。わが国で高減衰ゴム系積層ゴムを使った最初の評定物件は1988年である。このように現在使用されている積層ゴムは1980年前後には登場し、ゴム材料や製造方法なども改良が加えられてきている。
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